忍者ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

満月の夜に part2

「ほんとにいいの?」
エリさんが私に最終確認をする。
「はい」
私はゆっくりうなづいた。
それをみて、エリさんは再び準備を始める。
「タオルも巻いた方がいいかな」
エリさんはそう言いながら私の首にきゅっときつめにタオルを巻く。
そして、ファサっと白い布もかける。
「キツクない?」
エリさんが優しくきいてくれた。
「大丈夫です」

「それじゃあ、切らせてもらうね」
不敵な笑みを浮かべてエリさんが言った。
その表情が色っぽくて、本当は不安なはずなのに
不安とは違う意味でもドキドキが止まらない。
エリさんは私の髪を一纏めにして後ろでつかんだ。
…かと思うと、間もなく私に衝撃が走った。
ザグッ…ザグッ…ジョギジョギ…プツン
あっという間に私の髪は首元あたりで切られた。
「びっくりした?こんなに切ったよ」
エリさんは楽しそうに切った髪を私に見せ、私の目の前でバサバサと床に落とした。
私は唖然として何も言えなかった。
あまりに驚いてしまったのか、ショックだったのか、
自分でも気付かないうちに涙がこぼれてしまう。
エリさんはそれを見て驚くでもなく、こう言った。
「泣いた顔もかわいいね」

ざんばらになった私の髪をまだまだエリさんは切っていく。
ジョギッジョギッ…バサバサッ横は耳がくっきりと出るまでに切られている。
ジョギジョギッ…ジョキッ…バサッ後ろは見えないけれど、何度か襟足に冷たい感触を感じた。
また、トップの髪のどんどん短くされている。
私の目と鼻はすっかり赤くなっていた。
あまりに私が不安そうな表情をしたいたのだろうか。
「後悔してる?」
エリさんがこちらに顔を向けて尋ねてきた。
すぐには答えられなかったが、ゆっくりと私は答えた。
「なんかびっくりして…。どうしようって…」
「そうだよね。いきなりだったもんね」
エリさんは柔らかい口調でそう言うと、言葉をつづけた。
「でももう止められないから。覚悟してね」

軽快にどんどんハサミが入れられる。
ジャキジャキッ…ジャキッ…
そのたびにバサバサと音をたてて髪が落ちていく。
もう原状をとどめているのは前髪だけとなった。
ジョキッ…その前髪さえもおでこの真ん中あたりで短く切られた。
「こんなもんかなー」
エリさんは私の顔についた髪を払った。
そして私の耳元で囁く。
「ほんとは切られたかったんじゃない?」
私は耳にかかる吐息にドキッとしてしまった。
それに違うはずなのに図星をさされたような気分。
「えっ、そんなこと…」
反論しようとしたが、エリさんはお見通しのようだった。
「フフ、いいよ、無理しなくても」

「私より短くなったね」
髪に触れながらエリさんがつぶやく。
私は複雑な気持ちでエリさんを見つめた。
「かわいいよ」
窓の外には黄色い三日月が浮かんでいた。

拍手[26回]

PR

この記事にコメントする

お名前
タイトル
メール
URL
コメント
絵文字
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
パスワード

この記事へのトラックバック

この記事にトラックバックする

カレンダー

04 2025/05 06
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

最新TB

プロフィール

HN:
りゅな
性別:
女性

バーコード

ブログ内検索

P R

カウンター

アクセス解析