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満月の夜に part1

「シャワー先に浴びておいでよ」
エリさんにそう促された。
「いいんですか?すみません」
私は申し訳なさそうに答えてそそくさとバスルームへ向かった。
今日はどうしても済ませなければならない仕事があり
終電も過ぎてしまったため、エリさんのおうちに泊めてもらうことになった。
明日ちょうどお休みということもあり、
エリさんの「泊まってきなよ」という言葉に甘えることにした。

掃除のいい届いたバス。
オーガニック素材で作られたシャンプーやボディソープはなんともエリさんらしい。
私は手短にシャワーを済ませ、用意してもらったパジャマを着た。
シンプルな水玉のパジャマだ。
「あがりました。エリさんどうぞ」
私が戻ると「じゃあ行ってくるわ」と答え、エリさんがバスルームへと向かった。
私はソファでエリさんを待った。

しばらくすると、パジャマを着たエリさんが戻ってきた。
そしてエリさんはスッと私の隣に座った。
そういえば、エリさんのすっぴんなんて見るのは初めてだ。
私もエリさんにすっぴんなんて見せたことなかったんだっけ…。
エリさんは普段から美人だけど、化粧を落としてもやっぱりキレイ。
肌も透き通るようで、思わず見とれてしまいそう。
「ん?どした?」
私はつい、エリさんを見つめていたようだ。
「あっ、いえ、なんでも…」
言葉ではうまくやり過ごしたかのように見えたが、私の顔は少し赤くなっていただろう。
「んー?…私に見とれてた?(笑)」
冗談混じりにエリさんが尋ねてくる。それも、ひょいとこちらに顔を寄せて。
「えっ!?そんな、ちが」
私は余計にしどろもどろになっているようだった。

エリさんが私の髪を撫でる。
「ユキちゃんの髪、キレイ」
柔らかい表情でエリさんが言う。
エリさんに出会ったころは肩につくくらいだった私の髪。
今は胸下まで伸びている。
もっとも、普段はポニーテールにしてるから実感しにくいけれど。
「ありがとうございます」
私は照れながらお礼を言うのが精一杯だった。

「でもエリさんだってこの間まで髪の毛長くてキレイだったじゃないですか」
少し間をおいて思い出したかのように私が言う。
1週間前くらいまでエリさんも今の私と同じくらいの髪の長さだった。
それをバッサリと切って今はかっこいいショートだけど、
髪が長くても短くてもエリさんの美人度は変わらない。
「私は伸ばしてもお手入れとかユキちゃんみたいにちゃんとやってないもん。
だからユキちゃんほどキレイじゃないよー」

エリさんはさらっと謙遜した。
エリさんはさらに私の髪を撫でる。
「シャンプーしたばっかりだからいい匂い…」
エリさんとの距離がどんどん近くなっていった。
「ぁっ…」
不意に耳に何かが触れた。…エリさんの唇だ。
「ひゃぁっ…」
今度は私のパジャマの中にエリさんの手が入ってきた。
私の心は混乱と何ともいえない気持ちが混ざっているような状態。
でも…いやじゃない。
「もっとほしい?」
意地悪な顔でエリさんが私に訊く。
私は思わず懇願するような目でうなづいた。

「そっかー。じゃあ…」
エリさんは何かを言いかけた。いったん途切れてまた言葉を続ける。
「私のお願い、いっこ聞いてくれるかな?」
どんなお願いかわからないうちは答えようがないものだが、
私はまたもやうなづいた。

「じゃあこっちきて?」
エリさんに誘導されて奥の部屋に入る。
そこはベッドルームで、かわいいドレッサーがドア近くに置かれていた。
「ここに座って」
私はエリさんに言われるがまま、ドレッサーのイスに座った。
エリさんはさっきいた部屋から何かをもってきている。
ファサッ…白い布が目の前で広がった。
そした私の首あたりで布をきゅっと留めている。
「…?」
私は状況が読めず、きょとんとしている。
「ユキちゃんの髪、切らせてもらってもいい?」
小悪魔のような、でも天使のような顔でエリさんが訊く。
「えっ、切るって…」
突然の思ってもみない言葉に驚いてどうしたらいいのかわからない。
困っているとエリさんが言葉をつづけた。
「でもこんなにキレイなんだもんね。切るのもったいないよね。やめようか」
私はやっぱりうまく返事ができなくて黙ってしまう。
「…」
そんな私の様子をみてエリさんはいつもの顔に戻って言った。
「困らせてゴメン。もう遅いし今日は寝よう」
エリさんは、またもやファサっと白い布を翻して片づけた。
私はほっとしたような残念なような、何とも複雑な気持ちだ。
片づけをすませて布団に向かおうとするエリさんとは反対に、
その場で動けずにいた。

「どした?突然ごめんね。さっきのは忘れて。寝よう?」
「はい…。でも…」
「でも…何?」
少しはっきりとした口調でエリさんが私に訊く。
「このまま寝ちゃうのは残念っていうか…」
「でもちょっと不安もあって…」
私は独り言のように胸の内を語った。
「うん。それで、私はどうしたらいいのかな?
ユキちゃんはどうしたいの?」

エリさんは優しい表情だ。
「えっと…、やってください」
「ちゃんと言ってくれないとわかんないよ。私どうしたらいい?」
また意地悪な顔でエリさんが訊く。
私は息を詰まらせながら答えた。
「エリさんの好きなように…。髪、切ってください」


※part2につづく

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