変わりたくて
私、麻友と圭ちゃんは半年前に結婚した。
圭ちゃんはとても仕事熱心で自分の仕事に誇りを持っている。
そんな圭ちゃんは入社以来その仕事ぶりが認められ、
重要なポストを任されたりもしている。
そんな圭ちゃんも連日の残業で疲れているみたいだし
何もかもが順調にいくわけではなく、最近はため息をつくことも多い。
今日もビシッとスーツを着て、きれいに磨かれた靴をはこうとしている圭ちゃん。
甘い顔立ちに少し長めの髪型がよく似合っている。
「じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい。今日も夕飯作って待ってるね」
家を出る圭ちゃんを私は玄関で見送った。
玄関のドアが開いた。それと同時に圭ちゃんの声が聞こえる。
「ただいま」
夕方7時をまわったばかり。
こんなに早く圭ちゃんが帰ってくるのはいつぶりだろうか。
「おかえりなさい。今日は早いんだね」
私が玄関で出迎えてそう声をかける。
「あ・・・」
圭ちゃんの顔を見て、思わず私は一瞬固まってしまった。
今朝までは耳が全部隠れるほど長かった圭ちゃんの髪。
今は耳はくっきりと露わになっているし、前髪も眉毛がはっきり見えるほど短くなっている。
「ちょっと気分転換しよっかなって。切っちゃったよ」
圭ちゃんはさらりと事の経緯を話していた。
付き合って以来、圭ちゃんがこんなに髪を短くしたことなんてなかった。
昔の写真を見せてもらったこともあるけれど、
写真の中でもこんなに短い髪型をしていたことはなかったと思う。
気分転換というけれど、やはりストレスが相当たまっているのだろうか。
「どしたの?そんな深刻な顔して」
私があまりにじっと見つめていたからだろうか、圭ちゃんが私に声をかける。
「なんかびっくりしちゃって。圭ちゃんがここまで髪を短くしたのって初めて見たし…。
気分転換っていうけど、なにかあったのかな思って」
私は素直にこの一瞬の間に思ったことを伝えた。
「まぁ、疲れてはいるけど…ただの気分転換だよ」
圭ちゃんは笑いながら答え、リビングへと向かった。
その日は二人でゆっくりと夕飯を食べ、テレビを見ながら笑い合ったりと
楽しい時間を過ごした。
「じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
今日も玄関で圭ちゃんを見送る。
スーツに昨日とは違う短髪がよく合っている。
圭ちゃんはとても仕事熱心で自分の仕事に誇りを持っている。
そんな圭ちゃんは入社以来その仕事ぶりが認められ、
重要なポストを任されたりもしている。
そんな圭ちゃんも連日の残業で疲れているみたいだし
何もかもが順調にいくわけではなく、最近はため息をつくことも多い。
今日もビシッとスーツを着て、きれいに磨かれた靴をはこうとしている圭ちゃん。
甘い顔立ちに少し長めの髪型がよく似合っている。
「じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい。今日も夕飯作って待ってるね」
家を出る圭ちゃんを私は玄関で見送った。
玄関のドアが開いた。それと同時に圭ちゃんの声が聞こえる。
「ただいま」
夕方7時をまわったばかり。
こんなに早く圭ちゃんが帰ってくるのはいつぶりだろうか。
「おかえりなさい。今日は早いんだね」
私が玄関で出迎えてそう声をかける。
「あ・・・」
圭ちゃんの顔を見て、思わず私は一瞬固まってしまった。
今朝までは耳が全部隠れるほど長かった圭ちゃんの髪。
今は耳はくっきりと露わになっているし、前髪も眉毛がはっきり見えるほど短くなっている。
「ちょっと気分転換しよっかなって。切っちゃったよ」
圭ちゃんはさらりと事の経緯を話していた。
付き合って以来、圭ちゃんがこんなに髪を短くしたことなんてなかった。
昔の写真を見せてもらったこともあるけれど、
写真の中でもこんなに短い髪型をしていたことはなかったと思う。
気分転換というけれど、やはりストレスが相当たまっているのだろうか。
「どしたの?そんな深刻な顔して」
私があまりにじっと見つめていたからだろうか、圭ちゃんが私に声をかける。
「なんかびっくりしちゃって。圭ちゃんがここまで髪を短くしたのって初めて見たし…。
気分転換っていうけど、なにかあったのかな思って」
私は素直にこの一瞬の間に思ったことを伝えた。
「まぁ、疲れてはいるけど…ただの気分転換だよ」
圭ちゃんは笑いながら答え、リビングへと向かった。
その日は二人でゆっくりと夕飯を食べ、テレビを見ながら笑い合ったりと
楽しい時間を過ごした。
「じゃあ行ってくるよ」
「いってらっしゃい。気をつけてね」
今日も玄関で圭ちゃんを見送る。
スーツに昨日とは違う短髪がよく合っている。
圭ちゃんを見送ってから、私は一通りの家事をこなし、昼食をとっていた。
なんだか気分がすっきりしない。
圭ちゃんは本当に仕事をがんばっている。
とっても忙しいはずなのに私に対しては笑顔を絶やさないし、
誕生日、クリスマス、記念日といったイベントごとは忘れずにいてくれている。
「私、このままでいいのかな?」
ふとそんなことを思った。
私は圭ちゃんの妻として支えになれているのだろうか。
家のことは一通りやっているけれど、それだけでいいのだろうか。
「今日はどうしますか?」
「えっと…ガラッとイメージを変えたいんです。あとはおまかせします」
なんとも抽象的なオーダーをした。
しばらく悶々と考えたけれど勢いで美容院に飛び込み、
今はカット台に座り、ケープをかけられている。
「わかりました。思いっきりやっちゃいますね」
美容師はそう言うと、活き活きとした表情で私の髪を後ろで一纏めにした。
ザクザク・・・
あっという間にハサミが入れられた。
背中まであった私の髪はいまや肩につくあたりでプツンと不揃いに揺れている。
「こんなに切っちゃいましたよ~」
30cmは超えるであろう髪の束を持ったまま、美容師は得意げに話している。
「えっ、すごい…」
いざ切ってしまうと私は少し怖気づいてしまった。
そんな私の様子には気づかないのか
「まだまだ変わりますからね」と言い、美容師はどんどんハサミをすすめる。
ジャキジョキッ・・・
最初はあまりの変化に驚いてしまったけれど
髪がバサバサと落ちて行くたび、だんだん気持ちがスッキリしていくような気がする。
「はい、お疲れ様でした。後ろはこんな感じです」
鏡で後ろもみせてもらった。
毛先の軽い、スッキリと首の見えるショートボブといったところ。
「もっと短いのも似合うと思いますけど、今日はこれくらいにしましょうね」
いたずらっぽく美容師が笑った。
足早に美容院をあとにして、私は家に帰った。
「今日は圭ちゃん帰ってくるの遅いのかなぁ」
独り言をぼやきながら雑誌を見ていると玄関が開く音がした。
「ただいま」
「おかえりなさい」
いつものように圭ちゃんを出迎えた。
「その髪…」
圭ちゃんがあんぐりとした表情で私を見ている。
昨日の私もこんな感じだったのだろうか。
「えっと…切っちゃった」
「大事に伸ばしてたじゃん。何かあったのか?」
心配そうに圭ちゃんが尋ねてくる。
「昨日の圭ちゃんと同じで気分転換だよ」
ケロッとした顔で私は答えた。
それでも圭ちゃんは納得のいかない様子。
「もしかして俺が髪切ったことと何か関係あるのか?」
今度は真剣な表情で尋ねてくる。
「あのね…」
私はゆっくりと言葉をつづけた。
「圭ちゃんはいつもお仕事がんばってるじゃない?それに忙しくっても私に優しいし。
そんな圭ちゃんに対して私は何ができてるんだろうって思ったの。
髪を切ったからって何かが変わるわけじゃないけど…決意表明っていうかね」
途中で自分でも何を言ってるかどうかわからなくなってきた。
ぎゅっ。
いきなり力強く抱き寄せられた。
「ありがと」
耳元で圭ちゃんがささやいた。
改めてソファに隣り合って座った。
「いつもご飯をつくって待っててくれて、すごく感謝してる」
圭ちゃんが話を始めた。
「最近ちょっと仕事で行き詰ってて疲れてたのは確かだよ。
それで心配かけたのかもしれない。
俺の支えは麻友なんだ。麻友がいてくれるから頑張れるんだよ」
そう言って圭ちゃんは私の手を握った。
「うん」
圭ちゃんはするりと握った手を離し、私の髪にさらりと触れた。
「短いのも似合うな」
少しぶっきらぼうに圭ちゃんが言った。
私も思い出したかのように言う。
「圭ちゃんもその髪型、似合ってる。かっこいい!」
すると圭ちゃんは安心したようは表情で
「よかった。何も言ってくれないから似合ってないのかと思った」
と、ぼそりと言った。
しばらく二人でソファに座ったまま、まったりとした時間を過ごした。
「この人とずっと一緒にいたい」
二人ともそう思いながら、夜が更けていった。
なんだか気分がすっきりしない。
圭ちゃんは本当に仕事をがんばっている。
とっても忙しいはずなのに私に対しては笑顔を絶やさないし、
誕生日、クリスマス、記念日といったイベントごとは忘れずにいてくれている。
「私、このままでいいのかな?」
ふとそんなことを思った。
私は圭ちゃんの妻として支えになれているのだろうか。
家のことは一通りやっているけれど、それだけでいいのだろうか。
「今日はどうしますか?」
「えっと…ガラッとイメージを変えたいんです。あとはおまかせします」
なんとも抽象的なオーダーをした。
しばらく悶々と考えたけれど勢いで美容院に飛び込み、
今はカット台に座り、ケープをかけられている。
「わかりました。思いっきりやっちゃいますね」
美容師はそう言うと、活き活きとした表情で私の髪を後ろで一纏めにした。
ザクザク・・・
あっという間にハサミが入れられた。
背中まであった私の髪はいまや肩につくあたりでプツンと不揃いに揺れている。
「こんなに切っちゃいましたよ~」
30cmは超えるであろう髪の束を持ったまま、美容師は得意げに話している。
「えっ、すごい…」
いざ切ってしまうと私は少し怖気づいてしまった。
そんな私の様子には気づかないのか
「まだまだ変わりますからね」と言い、美容師はどんどんハサミをすすめる。
ジャキジョキッ・・・
最初はあまりの変化に驚いてしまったけれど
髪がバサバサと落ちて行くたび、だんだん気持ちがスッキリしていくような気がする。
「はい、お疲れ様でした。後ろはこんな感じです」
鏡で後ろもみせてもらった。
毛先の軽い、スッキリと首の見えるショートボブといったところ。
「もっと短いのも似合うと思いますけど、今日はこれくらいにしましょうね」
いたずらっぽく美容師が笑った。
足早に美容院をあとにして、私は家に帰った。
「今日は圭ちゃん帰ってくるの遅いのかなぁ」
独り言をぼやきながら雑誌を見ていると玄関が開く音がした。
「ただいま」
「おかえりなさい」
いつものように圭ちゃんを出迎えた。
「その髪…」
圭ちゃんがあんぐりとした表情で私を見ている。
昨日の私もこんな感じだったのだろうか。
「えっと…切っちゃった」
「大事に伸ばしてたじゃん。何かあったのか?」
心配そうに圭ちゃんが尋ねてくる。
「昨日の圭ちゃんと同じで気分転換だよ」
ケロッとした顔で私は答えた。
それでも圭ちゃんは納得のいかない様子。
「もしかして俺が髪切ったことと何か関係あるのか?」
今度は真剣な表情で尋ねてくる。
「あのね…」
私はゆっくりと言葉をつづけた。
「圭ちゃんはいつもお仕事がんばってるじゃない?それに忙しくっても私に優しいし。
そんな圭ちゃんに対して私は何ができてるんだろうって思ったの。
髪を切ったからって何かが変わるわけじゃないけど…決意表明っていうかね」
途中で自分でも何を言ってるかどうかわからなくなってきた。
ぎゅっ。
いきなり力強く抱き寄せられた。
「ありがと」
耳元で圭ちゃんがささやいた。
改めてソファに隣り合って座った。
「いつもご飯をつくって待っててくれて、すごく感謝してる」
圭ちゃんが話を始めた。
「最近ちょっと仕事で行き詰ってて疲れてたのは確かだよ。
それで心配かけたのかもしれない。
俺の支えは麻友なんだ。麻友がいてくれるから頑張れるんだよ」
そう言って圭ちゃんは私の手を握った。
「うん」
圭ちゃんはするりと握った手を離し、私の髪にさらりと触れた。
「短いのも似合うな」
少しぶっきらぼうに圭ちゃんが言った。
私も思い出したかのように言う。
「圭ちゃんもその髪型、似合ってる。かっこいい!」
すると圭ちゃんは安心したようは表情で
「よかった。何も言ってくれないから似合ってないのかと思った」
と、ぼそりと言った。
しばらく二人でソファに座ったまま、まったりとした時間を過ごした。
「この人とずっと一緒にいたい」
二人ともそう思いながら、夜が更けていった。
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